岩田忠久教授

環境にやさしいバイオプラスチックの創製と構造制御による高性能化

私たちは、石油原料ではなく糖や植物油などのバイオマスからつくられる「バイオベースプラスチック」と、使用中は従来のプラスチックと同じ性能を発揮し、使用後は環境中で分解する「生分解性プラスチック」に関する研究を行っています。
化学合成、生物合成、物性評価、構造解析、酵素分解など、高分子の化学・材料学・構造学・環境化学の幅広い観点から、環境にやさしいプラスチックの基礎から応用まで様々な研究開発を行っています。

1. 微生物が生合成する生分解性バイオポリエステルの
高強度繊維・フィルム化技術の開発

本研究では、糖や植物油から微生物により生合成される生分解性バイオポリエステルの新規な溶融紡糸法や延伸法を開発することにより、汎用樹脂のポリエチレンやポリプロピレンに匹敵する高強度化を行い、手術用縫合糸や釣り糸、農業用マルチフィルムや包装資材などに応用可能な高強度材料の開発を行っています。

2.生分解性バイオマスプラスチックの基礎研究と高性能部材化

本研究では、トウモロコシなどから合成されるポリ乳酸や上記のバイオポリエステルなどの高性能化を目的とし、原子間力顕微鏡、偏光顕微鏡などを用いた分子レベルでの構造解析を基に、生体吸収性や薬剤徐放性などを考慮したナノファイバーやナノポーラスナノファイバーなどの高機能部材の開発を行っています。

3.未利用バイオマスからの新規バイオマスプラスチックの創製

これまでのバイオマスプラスチックは、デンプンなどの可食系原料から作られています。 本研究では、木材や草本中に存在する非可食系原料である未利用バイオマスのヘミセルロースや天然多糖類を出発原料として、化学合成法により新規なバイオマスプラスチックの創製を目指しています。

4.オールバイオマス複合材料の開発

本研究ではバイオマス由来の高強度繊維、結晶核剤、相溶化剤の開発を行い、バイオマスプラスチックの高性能化を目的としたオールバイオマス複合材料の開発を行っています。
ポリ乳酸にキシランエステル誘導体をわずか0.1%添加するだけで、結晶化速度は劇的に増加し、成形性サイクルをポリプロピレン並みにまで短縮することに成功しました。

5.大型放射光を用いた高分解能構造解析

本研究では、糖や植物油から微生物により生合成される生分解性バイオポリエステルの新規な溶融紡糸法や延伸法を開発することにより、汎用樹脂のポリエチレンやポリプロピレンに匹敵する高強度化を行い、手術用縫合糸や釣り糸、農業用マルチフィルムや包装資材などに応用可能な高強度材料の開発を行っています。

6.生分解性制御技術の開発

本研究では、生分解性プラスチックの生分解性速度を自由自在にコントロールするための技術開発を高分子材料および酵素化学の観点から研究を進めています。
さらに、生分解性開始機能の付与を未来の課題として取り組んでいます。

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東京大学
大学院農学生命科学研究科
生物材料科学専攻
バイオマス化学講座
高分子材料学研究室 〒113-8657
東京都文京区弥生1-1-1
農学部5号館402号室

Tel
03-5841-5266
Fax
03-5841-1304

岩田忠久教授


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